マフィーからの手紙(3)


菰野町のみなさん、こんにちは。
実りの秋も終わり、冬支度でお忙しいことでしょうね。
みなさんの心の中にも素敵な実がたくさん成りましたか? 

小さな夢の国「芸術の森」に住む妖精マフィーからの手紙も3回目を迎えました。
「芸術の森」では、今年もとても沢山のどんぐりの実が成りました。

 さて、今回は「芸術の森」の川辺にある、
「森のリバーサイドステージ」で起きたできごとについてお話しましょう

 このステージは、森に住む生きものたちのだれもが生きていることの喜びを
自由に表現できるステージなのです。

先日の秋祭りでのことでした。
ラビットさんの「お月見ダンス」、リス君の「くるみ玉乗り」、
マロンちゃんの「イガイガの歌」も終わり、いよいよドングリチームの
「ころころサーカス」の出番がやってきました。

司会者は、スズメのチュン子さん。
「さて、お次は“ころころサーカス”のみなさんで〜す」と呼んでも、
だれもステージにやってきません。

もういちど呼びましたが、それでも返事がありません。
その内みんながざわざわし始めました。
 
心配になったみんなは、手分けしてドングリチームを探し始めました。
ドングリチームはどこへ行ってしまったのでしょう?
 
しばらくして「おーい、ここにいたぞ!」とカエル君の声がしました。
なんとドングリチームのみんなは、川の底に沈んでいたのです。
 
「早く助けよう!」とみんな必死です。川は一日前の雨で増水しています。

ラビットさんの長い耳、モンキー君の長い手、それでも川の底には届きません。
「どうしよう〜」と困っていると、「僕なら助けられるよ」と声がします。
カメのノロマ君です。

「なにをやってもノロマなおまえになんかできるものか」と、みんなは相手にしません。
しかし、ラビットさんはノロマ君のすごさを知っていたので、
すぐに飛んでいき、「ノロマ君どうしたらいいの?」と助けを求めました。

「いそがないといけないんだろう。僕をおんぶして川まで連れてってくれるかい?」 といいました。

「いいわ、急ぎましょう」と、ラビットさんは自分の2倍の重さがあるノロマ君を
背中に乗せ川に向かって走り出しました。

川にたどり着いたノロマ君はあっという間にもぐっていきました。
「あのノロマがどうやって助けるんだろう」とみんな半信半疑です。

なぜなら丸い背中にのせたらこぼれ落ちてしまうからです。
しばらくすると、水面にドングリチームの全員が顔をのぞかせました。

なんだか板のようなものの上に乗っているではありませんか。 
みんなで力を合わせ、ドングリチームを介抱しました。

イノシシのボアさんも自分のお腹の上で、一生懸命に温めています。

マロンちゃんが川から顔をのぞかせてにこにこしていたノロマ君に 
「あの板のようなものはどこにあったの?」と尋ねました。
するとノロマ君は得意げに「くるっと」半回転してみせたのです。

大活躍のノロマ君に、みんなで大きな拍手を贈りました。

おかげで、ドングリチームの全員が元気を取り戻したのです。
今年の「森のリバーサイドステージ」は日が暮れてもにぎやかです。

ノロマ君はドングリチームの新メンバー。
ドングリチームはノロマ君の背中に乗って
「ころころサーカス」をいつまでも楽しんでいました。

(つづく)